第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

「そういえばさ、
君たちラピスラズリ伯爵家の騎士団だよな?」

まさかこちらに話が向けられるとは思わず、少し驚きつつも返事をする。

「はい」

「ティアナ様ってさ、美人で強くて、有名だよな!」

「それな〜!
 第2・第3騎士団の統合の話も聞いたぞ!」

「すごいよなー!
 何十年も成し得なかったことをだぜ?
 平民と貴族の処遇を同じにするって話だろ?」

「すげぇよ!!」

「そうです!」

「俺たちのお嬢様は一味ちがうからな!」

ふふん、とアレンとロベルトが自慢げに胸を張る。

――本人いる前でほんとやめてほしい。

「実際どうなんだ?
 ティアナ様とディラン殿下って……」

「えっと……」

これは、なんて答えればいいのかわからない。

「俺は……まだ新人なんでわかりません」

しれっと逃げる。

「ふーん。
 そっちはセナさんだよな?
 強くて有名だぜ。ティアナ様の護衛騎士なんだろ?」

今度はセナに矛先が向く。

「まあ、どうですかね」

セナは淡々とかわしたが、
私は“余計なこと言わないでよ”と静かに目で訴えていた。