第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない


「――作戦確認ね!」

私は視線を一巡させ、全員の顔をしっかりと見渡した。

「期間は一週間。その間に、私とセナ、アレン、ロベルトは王国騎士団員として合宿に参加して、内部から情報を集める」

一度、言葉を区切る。

「そして合間を縫って、ジョルジュの“本当の目的”を突き止める。これが最優先」

空気が、ぴんと張りつめた。

「それから――目星をつけた場所」

指先で机を軽く叩く。

「頃合いを見て、夜中に潜入する」

「その際に使うのが、ディランから受け取った城内地図と、見張りの配置情報」

「入念に確認してから動くわ」

私は視線を向ける。

「その役目は――テオ、ユウリ。お願い」

「2人は城内の使用人として潜入」

「はーい」

テオが軽く手を上げ、

「承知しました」

ユウリが静かに頷く。

「それから――」

私はレオを見る。

「レオは庭師として潜入」

「はい!」

元気よく返事をして胸を張る。

「外から見張ります!」

「お願いね。外の異変に一番気づけるのは、あなたよ」

次に、ルイへ視線を移す。

「ルイは裏方で、私のサポートをお願い」

その瞬間だけ、空気が少しやわらぐ。

「……わかったわ」

短く、しかし迷いのない返事。

「それと――」

声を引き締める。

「ルーク団長、オリバー副団長、エリックは待機」

「流石に、伯爵家をそのまま空けるわけにはいかないから」

「りょうかい!」

ルーク団長が即答する。

「ただし」

私は念を押す。

「こちらが動く時には、必ず力を貸してほしい」

「わかりました」

オリバー副団長とエリックも、静かに、しかし確かな意志で頷いた。

「……危険な作戦よ」

でも、と小さく笑う。

「だからこそ、一人も欠けずに帰る」

その言葉に、誰も冗談めかすことなく、真剣に頷いた。

――もう、後戻りはできない。