第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

沈黙が落ちる。

「……共鳴を使ったんですね」

セナが、ぽつりと呟いた。

「ええ」

私は、はっきりと頷く。

「陛下は、それを確かめようとしていた。
 だから――あえて、魅せたの」

視線をそらさず、続ける。

「ここで見せなければ、きっとまた別の形で、誰かが巻き込まれる」

胸の奥が、ひどく痛んだ。

「……それは、だめよ」

静かだが揺るぎない声だった。

相手は王国の頂点。
一歩間違えれば――全員が危険に晒される。

それでも、私ひとりでは抗えない。

「……力を貸してくれる人は、いる?」

そう言って、皆の顔を見渡した。

「そんなの、当たり前でしょ。お嬢様」

「もちろんよ!」

「俺も、やります!!」

テオ、ルイ、レオが次々に声を上げ、
ロベルトとアレン、アリスも迷いなく頷いた。

「私も、協力させてもらうよ」

緑の髪をゆるりと指に絡めながら、ルーク団長が穏やかに言う。

「当然です」

オリバー副団長も、即座に続いた。

「テオさんがやるなら……私もやります」

最後に、エリックが名乗りを上げる。

その場に、迷いはひとつもなかった。