目を丸くしてティアナ様が私を見つめた。
「さっきね、使用人の人が言ってたの。“貴族の方は、あなたが作るドレスなんて着ない”って」
「ふーん」
まるで面白い話でも聞いたかのように、どこか楽しそう。
短く間を置いて、彼女はにこりと微笑んだ。
「とりあえず、見せてよ」
その笑顔に、胸の奥がきゅっと締めつけられる。私は黙ってドレスを差し出した。
――そして。
彼女が身にまとった瞬間。
「すごい、すごい!!」
ぱっと表情が輝き、目がきらきらと揺れる。
「ルイ、これ……すごくいい感じだよ!」
嬉しそうに、その場でくるりと回った。布がふわりと広がり、まるで彼女のために生まれたように完璧に馴染んでいる。
……ああ。
作ってよかった。
心の底から、そう思えた。
「ルイ、ありがとう!」
弾む声とともに、差し出された代金を受け取る。
……これで、終わりだ。
胸の奥に、じんわりと名残惜しさが滲む。
「これ返しますね」
お店の鍵も返した。何か言いたげな彼女の視線を見ないように、軽く頭を下げてその場を離れようとする。
「ルイ、またね」
その一言に、思わず足が止まった。
胸の奥で、その言葉が静かに反響する。
――また、か。
たったそれだけなのに、なぜか少しだけ救われた気がした。



