第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

さらにその次の日も——
これで5日目。

さすがに、しつこい。

「ねぇ。どうしても、だめ?」

こてん、と首をかしげる仕草は、毎日まったく同じ。
そのたびに胸がざわつく。

「何度言われても……私には無理です」

口ではそう言うけれど、心はまるで逆だ。

やりたくないわけがない。
むしろ、やりたくて仕方がない。

こんなにも可愛くて、綺麗で、
目を輝かせて期待してくれる子を前にしたら、
デザインなんて、いくらでも浮かんでしまう。

「……わかった。じゃあ、こうしよう」

ティアナ様が、いつもの調子で口を開く。

「少しだけ、時間をちょうだい。
それでも駄目なら……諦めるから」

「ほんとですか?」

思わず、彼女の顔を見つめてしまう。

「うん」

「……わかりました」

その返事を聞いた瞬間、彼女はぱっと立ち上がり、
迷いなく私の手首をつかんだ。

「じゃあ、行きましょう」

「え、ちょっ——」

有無を言わせぬ力で、
私は連れ出されてしまった。