「……いえ、私には無理です」
思った以上に、はっきりと言い切っていた。
素人が伯爵家のご令嬢のドレスを作るなんて——
そんなの、できるはずがない。
ああいうものは、名のある高級ドレス店に頼むもの。
私の出る幕じゃない。
「どうして?」
首をかしげたティアナ様が、不思議そうに問い返す。
「こんな素敵なデザインを描ける人、そういないわ。
勝手に覗かせてもらったけど……」
さらりと、迷いなく言い切る。
「これは、ちゃんと“形にできる人”のデッサンよ」
「……」
言い返せなかった。
こんな幼い子に、核心を突かれるなんて。
「それでも、無理です」
視線をそらし、立ち上がる。
「……失礼します」
これ以上ここにいるのが怖くて、私は席を離れた。
――そして翌日。
「こんにちは」
聞き覚えのある声。
「……どうして、またここに?」
「諦めてないので」
当たり前のように、しれっと言う。
「はぁ……」
思わず、盛大なため息が漏れた。



