6年前。
ルイ、18歳。
ティアナ、12歳。
私は、昔から服を作るのが好きだった。
布に触れ、形を考え、誰かに似合う一着を想像する――その時間が、何より幸せだった。
けれど、母が亡くなり、家は一気に傾いた。
父は酒に溺れ、気づけば借金まで背負っていた。
まだ幼い双子の妹たち。
泣き声を聞くたびに、胸の奥がぎゅっと締めつけられた。
――夢を追っている場合じゃない。
何度も、何度も、自分にそう言い聞かせた。
幸い、私は魔宝石の適性を持っていた。
そのおかげで王国騎士団に入り、やがて公爵家付きの騎士として働くことになる。
収入は安定した。
屋根のある家と、温かい食事が手に入った。
……やりたい仕事ではなかったけれど。
それでも、妹たちが笑って生きていけるなら。
私が我慢すれば、それでいい。
あの頃の私は、そう信じて疑わなかった。
遠征任務のため、私は1か月ほどラピスラズリ伯爵家の領地近くに滞在することになった。
任務の合間、時間を見つけてよく立ち寄るカフェがある。
香りのよい紅茶と、添えられるマカロンがとても美味しい店。
束の間の休息。
私はテーブルにスケッチブックを広げ、ドレスのデッサンを描き始める。
……やっぱり、好きなことはやめられない。
これはもう、趣味だ。
誰に見せるわけでもない、私だけの時間。
合間を縫って少しずつ仕立てたドレスを、妹のエマとサラに着せるのが何よりの楽しみだった。
くるりと回ってはしゃぐ2人の姿を思い浮かべると、自然と頬が緩む。
――けれど。
父は、それを馬鹿にしていた。
「そんな、金にもならないことをするな!」
怒鳴り声が、今も耳に残っている。
……母がいた頃は、こんなふうじゃなかったのに。
あの人が笑ってくれていた頃は、この家も、もう少しだけ温かかった。
ルイ、18歳。
ティアナ、12歳。
私は、昔から服を作るのが好きだった。
布に触れ、形を考え、誰かに似合う一着を想像する――その時間が、何より幸せだった。
けれど、母が亡くなり、家は一気に傾いた。
父は酒に溺れ、気づけば借金まで背負っていた。
まだ幼い双子の妹たち。
泣き声を聞くたびに、胸の奥がぎゅっと締めつけられた。
――夢を追っている場合じゃない。
何度も、何度も、自分にそう言い聞かせた。
幸い、私は魔宝石の適性を持っていた。
そのおかげで王国騎士団に入り、やがて公爵家付きの騎士として働くことになる。
収入は安定した。
屋根のある家と、温かい食事が手に入った。
……やりたい仕事ではなかったけれど。
それでも、妹たちが笑って生きていけるなら。
私が我慢すれば、それでいい。
あの頃の私は、そう信じて疑わなかった。
遠征任務のため、私は1か月ほどラピスラズリ伯爵家の領地近くに滞在することになった。
任務の合間、時間を見つけてよく立ち寄るカフェがある。
香りのよい紅茶と、添えられるマカロンがとても美味しい店。
束の間の休息。
私はテーブルにスケッチブックを広げ、ドレスのデッサンを描き始める。
……やっぱり、好きなことはやめられない。
これはもう、趣味だ。
誰に見せるわけでもない、私だけの時間。
合間を縫って少しずつ仕立てたドレスを、妹のエマとサラに着せるのが何よりの楽しみだった。
くるりと回ってはしゃぐ2人の姿を思い浮かべると、自然と頬が緩む。
――けれど。
父は、それを馬鹿にしていた。
「そんな、金にもならないことをするな!」
怒鳴り声が、今も耳に残っている。
……母がいた頃は、こんなふうじゃなかったのに。
あの人が笑ってくれていた頃は、この家も、もう少しだけ温かかった。



