第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

「……とりあえず、少し話をまとめましょうか」

ユウリが静かに口を開く。

その言葉を合図にしたかのように、扉の前で気まずそうに立っていたルーク団長とオリバー副団長、そしてエリックが、遠慮がちに部屋へ入ってきた。

「……」

一瞬、視線がこちらに集まる。

「す、すみません」

思わず頭を下げ、内心のざわつきを押し込めるように背筋を伸ばす。

――切り替えなきゃ。

王国創立記念祭までは、まだ時間はある。
けれど、余裕があるわけじゃない。

それぞれの役割、準備の進捗
警備と動線、来賓対応。


ひとつずつ確認していくうちに、部屋の空気は少しずつ、いつもの「仕事の場」へと戻っていった。

さっきまでの気恥ずかしさも、胸の奥に残る甘さも、今はそっとしまい込む。

私は、次の議題へ視線を落とした。