第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

正面玄関まで戻ると、

「あっ。お嬢さーん、雪ですよ!」

楽しげな声が響く。

……と思ったら。

「って、殿下! あ、仲直りしたんですね!」

一瞬で状況を察するその観察力、今はいらない。

「ちっ。なんだ、仲直りしたのか」

テオがわざとらしく舌打ちする。

「ちょっと、テオちゃん!よかったじゃない」

ルイが肩をすくめてなだめた。

「とりあえず、中でお茶にしましょう」

「ええ、用意します」

場をまとめるようにユウリが声をかけ、アリスも頷く。

その言葉に、張りつめていた空気がようやく緩んだ。

アレンとロベルトは事情を深く聞くこともなく、ただニコニコと笑っている。
そして――

セナが、誰にも気づかれないように、そっと息を吐いた。

その横顔を見て、私もようやく肩の力を抜いた。