「俺も。
君の全部が愛おしくて、大切で、どうしようもない」
耳元に落ちた低い声が熱くて、
一瞬で顔が真っ赤になる。
「や、やめてくださいよ……恥ずかしい」
「その顔も好きだ」
「……」
ほんと、この人は……。
音楽が終わり、手を離そうとした瞬間、
ディランが指を絡めてきた。
「さて、まだ終わらないよ。
少し付き合ってくれ」
そのまま手を引かれ、
王宮内の屋上へと歩き出す。
夜の空気はひんやりしていて、
遠くの街灯が星みたいに瞬いていた。
「外は冷えるね。これを」
ディランが自然な動作でジャケットを肩にかけてくれる。
「ありがとうございます」
布越しの温もりが、胸の奥まで染みていく。
「ねぇ、ディラン」
「なんだい?」
「その……私の力を公にしないでくれたことも、
王妃にならなくてすむようにしてくれたことも……
全部、本当にありがとうございます」
言葉にすると、胸が少し痛くなる。
この人は、私の不安をいつも先回りしてくれる。
優しすぎるくらいに。
「それはもう気にするな」
「それでも……私が覚悟を決められなかったからでしょ?」
王妃になる覚悟を、
結局最後まで持てなかった。
決心する前に、
ディランは逃げ道をくれた。
優しさなのか、
甘さなのか、
それとも――。
夜風が少しだけ強く吹き、
ディランのジャケットがふわりと揺れた。
彼はしばらく黙って、
私の言葉を噛みしめるように視線を落とした。
その横顔が、
どこか切なくて、
胸がぎゅっとなる。
君の全部が愛おしくて、大切で、どうしようもない」
耳元に落ちた低い声が熱くて、
一瞬で顔が真っ赤になる。
「や、やめてくださいよ……恥ずかしい」
「その顔も好きだ」
「……」
ほんと、この人は……。
音楽が終わり、手を離そうとした瞬間、
ディランが指を絡めてきた。
「さて、まだ終わらないよ。
少し付き合ってくれ」
そのまま手を引かれ、
王宮内の屋上へと歩き出す。
夜の空気はひんやりしていて、
遠くの街灯が星みたいに瞬いていた。
「外は冷えるね。これを」
ディランが自然な動作でジャケットを肩にかけてくれる。
「ありがとうございます」
布越しの温もりが、胸の奥まで染みていく。
「ねぇ、ディラン」
「なんだい?」
「その……私の力を公にしないでくれたことも、
王妃にならなくてすむようにしてくれたことも……
全部、本当にありがとうございます」
言葉にすると、胸が少し痛くなる。
この人は、私の不安をいつも先回りしてくれる。
優しすぎるくらいに。
「それはもう気にするな」
「それでも……私が覚悟を決められなかったからでしょ?」
王妃になる覚悟を、
結局最後まで持てなかった。
決心する前に、
ディランは逃げ道をくれた。
優しさなのか、
甘さなのか、
それとも――。
夜風が少しだけ強く吹き、
ディランのジャケットがふわりと揺れた。
彼はしばらく黙って、
私の言葉を噛みしめるように視線を落とした。
その横顔が、
どこか切なくて、
胸がぎゅっとなる。



