第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

「こちらは大助かりですよ。
やはりティアナ様に王妃になっていただけたら、皆喜びますよ」

レイがさらりと言う。
その横でオーウェン団長たちが、まるで当然のように力強く頷いた。

「それはさせない」

即答するディランの声が、妙に真剣で思わず笑ってしまう。

「とりあえず、ここにいさせてもらっているので……できることをしようと思っただけですよ」

そう言うと、ディランが当然のように私の隣のソファへ腰を下ろした。

「なんですか?」

「近くで見てようと思ってね」

にやりと笑うその顔が、なんとも言えずずるい。

「なら、これとこれ確認してください。あと、これもです!」

バサッと書類を積んで渡すと、ディランは肩をすくめた。

「はいはい」

そのやり取りを見ていた周囲から、ひそひそ声が聞こえてくる。

「なんかお似合いですね」

「殿下が尻に敷かれているな……」

オーウェン団長たちがこそこそ話し、レイが口元に笑みを浮かべる。

ディランは聞こえているのかいないのか、
ただ静かに書類をめくりながら、時折こちらをちらりと見る。

その視線が、なんだかくすぐったい。