「これは……」
箱の中には、上質な銀のカフリンクスが収まっていた。
装飾は控えめで、王族らしい品の良さだけが静かに光っている。
思わず指先でそっと触れた。
「よければ使ってくれ。」
兄の声はどこか照れくさそうだ。
「……ありがとうございます。」
「どうしてこれを俺に?」
「ん? 弟と仲良くなりたいからだよ。
いままで、すれ違ってばかりだったからね。」
「はあ……」
俺は曖昧に返しながらも、胸の奥が少しだけ温かくなる。
兄は続ける。
「私が王になるのはいいが――
ディラン、お前にもきちんと働いてもらうからな。」
「それは……わかってます。」
「そうか。ならいい。」
兄は満足そうに笑った。
その笑顔は、王族としての威厳よりも、
ただ弟を大切に思う兄のそれだった。



