「なるほどね。
随分と弟が良い顔になった……これも彼女のおかげか。」
兄の言葉に、わずかに肩をすくめた。
断られるかもしれない――そんな不安が胸をよぎる。
「いいだろう……」
微笑む兄。
「本当ですか……?」
「ああ。ただし、条件がある。」
「なんですか?」
思わず身構える。
どんなことを頼まれるのか…。
「私のことをお兄様と敬い、月に一度は私との時間を作ってくれ。」
「は?」
俺は思わず素っ頓狂な声を上げた。
「ティアナ嬢だけずるいだろ。
私だって、可愛い弟を愛でたいのに。」
「待ってください、なんですかそれ。」
「ティアナ嬢に言われたんだよ。
『貴方も、ディランとよく似ています。
言葉が足りないところも、不器用なところも。
でも――大切に思っている気持ちだけは、本物です』って。」
「ティアナ……」
小さく息をのむ。
自分の知らないところで、そんな会話があったとは。
「だからちゃんと向き合いたいと思ってる。
もう一人では背負わせない。一緒に歩いて行こう。」
兄の真っ直ぐな言葉に、俺は視線を落としながらも、
静かに頷いた。
「……はい。」
「それと、これ。」
兄が差し出した小さな箱。
プレゼントだろうか。
「なんです?」
「ティアナ嬢に付き合ってもらって、お前のプレゼントを選んだんだ。」
「はあ……」
兄と出かけた日のことが脳裏をよぎる。
箱を受けとり、そっと蓋を開けた。



