廊下に出ると、ユウリがすっと横に並んだ。
「お嬢様、よかったですね」
「え?」
「王妃にならなくて済みそうです」
「あー……そうだね」
「嬉しくないんですか?」
「いや、それはもう……雪の中を転げ回りたいくらいには嬉しいんだけど」
「やめてください。傷口開きます」
ユウリの冷たい視線が刺さる。
流石にそんなことはしないけど。
「なんか……上手く手を打たれたというか……なんだろうな」
「わかる!俺わかるよ!」
テオが勢いよく隣に割り込む。
「あいつ、うまーく兄に投げたよねー」
「そうですね」
セナが淡々と続ける。
「お嬢様の気持ちも尊重した上で丸投げしましたね」
「えー!王様ってかっこいいのにな!!」
レオが大声をあげる。
「レオちゃんは単純ね」
ルイが笑いながら首を傾げる。
「でも……いつからそんなこと考えてたのかしら?」
その瞬間、全員の視線が後ろのレイさんに向く。
レイさんは咳払いし、眼鏡をクイッと上げた。
「私にも正確な時期はわかりませんが……ただ、あの方は」
ちらりと私を見るレイさん。思わず小首を傾げる。
「“欲しい”と思ったものには、時間をかけて計画を練るタイプです。
そして、甘やかす時は徹底的に甘やかします。
ティアナ様が望まないもの、邪魔になるものは……まあ、排除するでしょうね」
「ということは……」
ルイが言う。
「最初から考えていた可能性はありますね」
ユウリが静かに告げた。
「え?」
「うわ、重っ!」
テオが叫ぶ。
「いや、お前が言うな」
セナが即ツッコミ。
「お嬢さん、愛されてますねー!!」
レオの明るい声が廊下に響いた。



