第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない


そして数日後。
外はすっかり雪景色に染まっていた。

私はというと――

「ねえ、ディラン」

ベッドの上で横になっているディランに声をかける。

「なんだ?」

「私も、みんなの手伝いしてきていい?」

外では皆が雪かきをしたり、瓦礫を片付けたりと動き始めている。

しかしディランは即答した。

「だめだ」

「なんでよ」

「君はゆっくり休め。足の怪我、まだ治ってないだろう」

「それもそうだけど……」

言いかけたところで、ディランがふっと目を細めた。

「なら、俺の身体を拭いてくれるか?」

「え?」

「君にしか頼めない」

「そんなことないでしょう」

「だけど、君がいい」

その言い方がずるい。
私はため息をつきながら立ち上がった。

ベッドの近くのテーブルにはお湯の張られた容器とタオル、そして着替えが用意されている。
さっき侍女が持ってきてくれたものだが、ディランは「自分でやる」と言って受け取っていた。

私はそれらを手元に置き、ディランのそばへ近づく。

「服、脱いでください」

「ああ」

ディランは素直に服を脱ぎ始めた。
鍛え抜かれた筋肉が露わになる。

……あれ?
なんだか前よりたくましくなってない?
服の上からしか見たことなかったけど――。