「お嬢様」
「なに?」
「傷、痛みますか?」
セナの手がそっとの頬のガーゼへと伸びる。
触れられる寸前、指先の温度が伝わってきて、心臓が少し跳ねた。
「大丈夫。
セナとテオが来てくれたから」
そう言って笑うと、セナの表情が一瞬だけ揺れて手をそっと下ろす。
その揺れが、なぜか胸に刺さる。
「その顔…少し自分を責めてますね」
「え?なんでわかるの!」
「お嬢様のことはお見通しです。
どうせ、また“私がもっと強かったら”とか思ってるんでしょう?」
図星を刺されて、言葉に詰まる。
自分の弱さを見透かされるのは、恥ずかしいのに、どこか安心する。
「え、エスパー?」
真面目に聞いてみると、セナが柔らかく笑った。
「お嬢様は強いですよ。力だけじゃない。何より、心が」
その言葉が胸に染みた。
「そうやってさ…みんな甘やかす」
「いいじゃないですか。いっぱい頑張ったんですから。甘やかされたって」
そう言って、セナの手がそっと頭を撫でる。
その優しさに、思わず目を伏せた。
触れられるたび、心の奥の不安が溶けていく。
「間に合って良かったです。
俺も、もっと精進します」
その声は、まっすぐで、温かくて。
“守りたい”という気持ちが、言葉の端々から滲んでいた。



