第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない


食事を終え部屋から出たところで、

「お嬢様」

「ルーク団長、今回はご協力いただきありがとうございます」

「いえいえ〜。何とかなってよかったです」

ルーク団長がゆるく笑う。その笑顔に、ようやく緊張がほどけていくのを感じた。

「オリバー副団長、エリックもありがとうございます」

「いえ、お力になれて良かったです」

オリバーの言葉に、エリックも静かに頷く。
3人の表情には、安堵と、ほんの少しの心配が混じっていた。

「我々は報告も兼ねて、一足先に伯爵家へ戻りますね。明日あたりから雪が降るそうですから」

「わかりました。伯爵家のこと、よろしくお願いします」

「ええ。お嬢様はゆっくりしてきてください」

「セナ、お嬢様をよろしくな」

ルーク団長の言葉に、

「はい」

セナが力強く頷く。その横顔が妙に頼もしくて、胸が温かくなる。
そして3人は、一足先に帰っていった。