第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

「殿下も怪我をされていますし、やることは盛りだくさんでしょう。
人手は欲しいはずです」

ユウリが静かに補足する。

「それと……部下のしたことだから主人の責任、とか何とか言い訳つけて、
お嬢様を帰さないためになんかふっかけたのでしょう」

ユウリがさらりと言う。
……す、するどい。

「それ俺たちのせい?」

テオが言うと、セナが肩をすくめた。

「ははは……」

私は苦笑するしかない。

「でも、実際国王がやらかしてたわけじゃない?
次期国王って、ディラン殿下ってことよね?」

ルイが首をかしげる。

「まあ、そうなりますよね」

セナが頷く。

「ディラン殿下が……国王か」

ロベルトがぽつりとつぶやく。

「すごいですね。
でもなんか、遠くの人になっちゃいますね」

アレンが感嘆の声を漏らした。

「とりあえず、ご飯にしましょうか」

ユウリの声に、みんながそれぞれ席につく。
賑やかだった空気が、食事の香りとともに少し落ち着いていった。