食事の部屋に入ると、温かい香りがふわりと漂ってきた。
テーブルには料理が並びつつあり、アレンとロベルトも皿を運んでいるところだった。
2人ともこちらを見て、私の両腕をがっちりつかんでいるレオとテオの姿に、ぽかんと目を丸くする。
「お嬢様、よく休めましたか?
……というか、何ですかその状態は」
ユウリが皿を並べながら、呆れたように眉を下げる。
「お嬢さんの護衛隊です!」
レオが胸を張って堂々と宣言する。
その横でテオがすかさずツッコミを入れた。
「違くもないけどさ!!」
「俺もその護衛隊入りたいです!」
アレンが元気よく手を挙げる。
その無邪気さに、ロベルトがふっと優しく笑った。
「じゃあアレンは副隊長補佐だな!」
レオが即興で役職をつけると、
「わあ! やった!!」
アレンは子どものように喜んだ。
「ちょっと待って、それ誰が隊長?」
テオが眉をひそめて問いただす。
「それはもちろん俺!
テオは副隊長ね」
レオが当然のように胸を張る。
「何で! そこは俺が隊長でしょ!?」
テオが食い気味に反論する。
「えー、俺だよ!
俺の方がお兄さんだからな!」
レオが勝ち誇ったように言うと、テオのこめかみがぴくりと動いた。
兄弟げんかのような言い合いに、部屋の空気が一気に賑やかになる。
「とりあえず、お嬢様、お席にどうぞ」
セナが静かに椅子を引いてくれる。
その動作はいつも通り丁寧で、落ち着いている。
「ありがとう、セナ」
ようやく両腕をつかんでいたレオとテオが手を離し、私は腰掛けた。
座った瞬間、足の力が抜けてほっと息が漏れる。
「セナも休めた?」
「はい、俺は大丈夫です」
「そっか」
短いやり取りだけど、セナの声はいつも通り落ち着いていて安心する。
「それにしても、しばらく滞在するって……どのぐらいですか?」
セナが問いかける。
「うーん、そこはまだ何とも。
伯爵家は大丈夫かな?」
「それは大丈夫ですよ。
マルク様がヒィーヒィー言いながら仕事してましたから」
アリスが淡々と告げる。
……がんばれ兄。



