「はい、できたわよ!」
肩にポン、とルイの手が置かれる。
鏡に映る髪は、綺麗に切り揃えられていた。
「ありがとう」
そう言った瞬間、ルイがふわりと後ろから私を抱きしめてきた。
「ルイ?」
「ほんとに……無事でよかったわ」
「うん」
「心配したのよ」
「うん」
「来るの、遅くなっちゃってごめんね」
抱きしめる腕にぎゅっと力がこもる。
「大丈夫だよ。来てくれてありがとう」
そう言った瞬間、その声色がわずかに沈んだ。
「……女の子の髪を切るなんて、最低よ。あのジジイ」
優しさの奥に、押し殺した怒りが混じっている。
私の髪にそっと触れながら、悔しさを噛みしめるような声音だった。
「ふふ」
「でも、よく似合ってる」
「ありがとう」
コンコン、とノックが一瞬きこえ
すぐにガチャッと扉が開く。
「お嬢さーん!! ……って、あ!! ルイ、なにやってるの!?」
勢いよくレオが飛び込んできた。
「ちょっとレオちゃん、返事聞いてから入りなさいよ!!」
「わ! ごめーん! お嬢さん!!」
「入り口で騒がないでよ」
「ちょ、テオ押さないで!」
「――あ、お嬢様!! おはよう……って、ルイ、マジでなにやってるの!? 離れて?」
抱きしめられたままの私を見て、テオがドスの効いた声を出す。
「もう、お邪魔がいっぱい来たわね」
ルイはやれやれと肩をすくめ、私から離れた。
「お嬢様、身体大丈夫?? よく眠れた?? あいつに変なことされてないよね!!?」
テオがぐいぐい距離を詰めてくる。
「大丈夫だよ」
苦笑いしながら答えた。



