「……頼る、かぁ。
もう随分みんなに頼ってるよ」
天井を見上げたまま呟くと、ユウリがそっと視線を落としてくる気配がした。
「足りないぐらいですよ」
穏やかな声が降りてくる。
「強くあろうとするのは素晴らしいことですが……
強さは、誰かに支えられても失われません」
その言葉は、まるで心の奥に触れるように静かで優しい。
「ユウリは……そうやって、いつも私を甘やかす」
「甘やかしているつもりはありませんよ。
ただ、必要なときに必要な言葉をお渡ししているだけです」
柔らかな微笑みが、ほんの少しだけ照れくさくなる。
「お嬢様が前を向けるように。
その背中を支えるのが、私の役目ですから」
その言い方があまりにも自然で、胸がまたじんと熱くなる。
「ほんと、有能な執事がいて助かる」
「ありがたいお言葉です」
ふたりで顔を見合わせ、思わず笑い合った。
そのとき——コンコン、と控えめなノックの音が響く。
「はい」
返事をすると、扉の向こうにはレイさんが立っていた。
「お疲れのところ申し訳ありません」
「いえ、むしろ休ませていただいてありがとうございます」
「殿下がティアナ様に少し会いたいとおっしゃってまして……大丈夫ですか?」
申し訳なさそうに言うレイさんに、私はすぐ頷いた。
「もちろんです」
立ち上がると、ユウリがそっとカーディガンを肩にかけてくれる。
「じゃあ、ちょっと行ってくるよ。
ユウリもゆっくり休んでね」
「ええ、ありがとうございます」
軽く微笑み合ってから、私はレイさんの後に続いた。



