第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

裏庭に出た私たちの前へ、
甲冑の音を響かせながら王宮の騎士たちが駆けつけてきた。

その先頭には――
アラン殿下、ルーク団長、オリバー副団長、
そしてエリック、アレン、ロベルトの姿があった。

「テオさん!! 大丈夫ですか!!」

エリックが大袈裟に駆け寄ってくる。

「まじでやめて。俺よりお嬢様優先」
テオが顔をしかめる。

「そ、そうですね……! お嬢様、大丈夫ですか?」
エリックが慌てて私の方へ向き直る。

「ええ、大丈夫」
私は微笑んで答えた。

その直後、さらに2つの影が勢いよく飛び込んでくる。

「お嬢様!! 大丈夫じゃないですよね!!」

「ボロボロじゃないですか!!」

「ってか、髪どうしたんですか!?」

「み、短い!!」

アレンとロベルトが、ほぼ同時に叫びながら駆け寄ってきた。

アレンは半泣きで私の肩をのぞき込み、
ロベルトは心配のあまり手が震えている。

「平気よ。ちゃんと立てるから。
髪は……切られちゃって」

短くなった髪をつまみながら、私は微笑んだ。

「お嬢様の髪が!! 血が……!」
アレンが大騒ぎする。

「落ち着けアレン。お嬢様は強い」
ロベルトが言いながらも、声が震えていた。

その様子に、テオが呆れたように肩をすくめる。

「だから言ったろ。俺よりお嬢様優先しろって」

「当たり前です!」
アレンが即答する。

「テオは……まあ、平気だろ。セナ副団長も生命力すごいから」
ロベルトが小声で付け足す。

「おい聞こえてるぞ」
セナが眉をひそめた。

そのやり取りに、周囲の空気が少しだけ和らいだ。