第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

影が完全に霧散し、戦場に静寂が戻った。

私とディランが立ち尽くすその前へ、
仲間たちが一斉に駆け寄ってくる。

レオが真っ先に声を上げた。

「お嬢さんもボロボロじゃん! どうしたのそれ!」

私は苦笑しながら肩をすくめる。

「これはね……」

曖昧に濁していると――

「そこの王子が身体乗っ取られてやったの。最低でしょ」

テオが容赦なく言い放つ。

ディランは罰が悪そうに視線を落とした。

「……本当にすまない」

私は首を振る。

「いえ、大丈夫です。
むしろ……戻ってきてくれてよかった」

その言葉に、ディランはほんの少しだけ息を吐いた。

そこへルイが、私とディランを交互に見て言う。

「でも王子様もボロボロね。
顔色、ひどいわよ?」

その瞬間、セナとテオが同時に視線をそらした。

「それは不可抗力です」

「そうそう、不可抗力」

私は思わず吹き出しそうになる。

ユウリが穏やかに微笑んだ。

「……ともあれ、終わりましたね。
お嬢様……本当によく頑張りました」

レイも眼鏡の奥で瞳を揺らしながら、静かに言葉を添える。

「ティアナ様、ありがとうございます。
殿下も……よかったです。本当に……」

仲間たちの声が、温かく私とディランを包み込む。

戦いは終わった。
そして――
彼らは、また一緒に立っていた。