アレキサンドライトの光に貫かれ、
化け物と化した影が悲鳴を上げながら崩れ落ちていく。
赤黒い宝石が砕け、
黒い泥のような質量が地に溶けていく。
その中心で――
ジョルジュ陛下の影が、ゆっくりと形を失っていった。
「……あ……あぁ……」
かつて王であった男の面影が、
崩れ落ちる砂のように消えていく。
ディランはその姿を、ただ静かに見つめていた。
そして――
冷たく、凍てつくような声で告げる。
「貴方を……俺は絶対に許さない」
影が震えた。
「両親を殺したことも。
ティアナを利用しようとしたことも。
俺たちの人生を踏みにじったことも――全部だ」
その声音には怒りではなく、
静かな決別だけがあった。
「俺は……二度と貴方を祖父とは思わない」
ジョルジュの影が、最後の形を保てず崩れ落ちる。
「や……め……ろ……ディ……ラ……」
その声が消えた瞬間、
影は完全に霧散した。
静寂が訪れる。
ディランは剣を下ろし、
深く息を吐いた。
その横顔は、
少年ではなく――
王としての覚悟を宿した青年のものだった。
私はそっと彼に近づく。
ディランは私へ視線を向け、
ほんの少しだけ、柔らかく微笑んだ。
「……終わったよ、ティアナ。
ありがとう」



