第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない


剣先に集まった蒼い光が、
まるで星々の記憶を呼び覚ますように脈打つ。

私は深く息を吸い、
仲間たちの想いを背に受けながら、静かに詠唱を紡いだ。

「蒼き想いよ――
星の記憶を継ぎ、
交わした誓いを導に」

ラピスラズリが夜空のように輝き、
蒼い光が輪の中心へと収束していく。

「想いを……一つに」

私は剣を前へ突き出した。

「――ディランに、つなげ!」

蒼い奔流がディランへと流れ込み、
彼の剣のアレキサンドライトが強く脈動する。

ディランの身体が光に包まれた。

「……ティアナ……受け取った」

低く、確かな声。

次の瞬間――
ディランの瞳が、エメラルドからルビーに鮮烈の輝きを放った。

「変化を統べる光――
アレキサンドライト・レグルス!」

その名を叫んだ瞬間、
ディランの剣が7色の光を帯び、
星のような輝きが戦場を照らす。

ジョルジュの影が、赤黒い宝石を脈打たせながら咆哮した。

「グアアアアアアア!!」

だが、もう遅い。

ティアナが託した“想い”と、
仲間たちの共鳴がすべてディランへと集まり、
彼の剣を――“王の刃”へと昇華させていた。

ディランは一歩、前へ踏み出す。

「これは……俺だけの力じゃない。
みんなの想いが――俺を立たせてくれた」

そして、剣を振りかぶる。

「だから……終わらせる!」

アレキサンドライトの光が奔り、
星の軌跡を描きながら化け物と化した影を貫いた。

赤黒い宝石が砕け散り、
影は悲鳴を上げながら光に溶けていく。

蒼。
氷、紅。
炎、薔薇。
整、静。

そして――ディランの変化。

すべてがひとつの光となり、
影を完全に浄化した。

戦場に、静寂が戻る。