ティアナの意識が深く沈んでいく、その時――
ジョルジュが怒声を上げた。
「くそ! 邪魔をするなぁ!!!」
ディランの身体から黒い魔力が噴き上がり、
床の影が歪む。
そこから魔宝獣が次々と形を成し、牙をむいてティアナへ一直線に迫った。
「お嬢様!!」
セナとテオが同時に叫び、魔宝獣へ飛び込む。
氷と紅の斬撃が次々と切り裂くが――
数が多すぎる。
「くっ……間に合わない!」
「お嬢様から離れろ!!」
2人が必死に押し返す中、
一体がティアナへ跳びかかった。
その瞬間――
前へ一歩、静かに影が出る。
ユウリだった。
「理を整えよ――フローライト」
剣先が床に触れた。
――カン。
澄んだ音が戦場に響き、
灰色の透明な波紋が床を走る。
光は暴走する魔力を絡め取り、
乱れた流れを静かに整えていく。
空気が一瞬で澄み渡り、
魔宝獣が砕け散った。
「ユウリ……!」
「さすが!」
セナとテオが安堵の息を漏らす。
ティアナは共鳴の深みに沈んでいる。
ユウリは剣を構え直し、静かに言った。
「お嬢様には指一本触れさせません」
だが――まだ終わりではない。
ジョルジュが舌打ちし、さらに魔力を放つ。
「ならば……これでも防いでみろ!」
空気が震え、精神を揺らすような衝撃が広がる。
その瞬間、もう一つの影が前に出た。
レイだ。
「静寂を保て。惑いを断て――アメジスト」
深紫の紋様が刃に浮かび、
音のない波紋が地を這う。
その波紋は精神を乱す魔力を吸い取り、
戦場に“静寂”をもたらした。
魔宝獣の咆哮が消え、
ジョルジュの魔力の揺らぎが抑え込まれる。



