セナとテオの連撃が、氷と紅の軌跡を描きながらジョルジュを押し込んでいく。
金属がぶつかる音、魔力が弾ける音が鋭く響き渡った。
その背中を見つめながら、私は深く息を吸う。
――今しかない。
共鳴。
2人が作り出した、この一瞬の隙。
逃すわけにはいかない。
私はそっと目を閉じた。
「……集中だ」
心臓の鼓動が、世界の喧騒を押し流していく。
外の音が遠ざかり、代わりに自分の魔力の流れが鮮明に浮かび上がった。
短剣を握りしめ、静かに詠唱する。
「我が想いに応えよ――ラピスラズリ」
蒼い光が刃から溢れ、空気が震えた。
その光は、まるで私の心そのもの。
――ディラン。
胸の奥で、そっと名前を呼ぶ。
「お願い……答えて」
蒼い光が脈打ち、意識が深く沈んでいく。
まるで水底へ引き込まれるように、世界がゆっくりと暗転していった。
遠くで、セナとテオの声がかすかに届く。
「押し込め、テオ! お嬢様に近づけるな!」
「わかってる!
この身体が砕けようとも、絶対お嬢様に近づかせない!」
金属音が響き、ジョルジュの怒声が混じる。
だが、私の意識はもうそこにはなかった。
蒼い光に包まれながら――
私はディランの内側へと、深く、深く潜っていく。



