「それで……ガイルのことも利用してたの?」
声が震え、怒りと恐怖が喉の奥で絡みつく。
ディランの姿をした“それ”は、まるで退屈な雑談でもされたかのように、気だるげに肩をすくめた。
「ああ。実験材料にはなったな」
あまりにも軽い口調だった。
胸の奥がきゅっと痛む。
「ガイルは……貴方の息子でしょ。
それを……駒みたいに扱って……」
「“あれ”は出来損ないだ」
その瞬間、空気がひやりと凍りついた。
ジョルジュ陛下の声には、親としての情など一片もない。
ただ、失敗作を切り捨てる研究者の冷たさだけがあった。
そして、ゆっくりと続ける。
「そうそう。私のもう一人の息子は、なかなかの逸材だったよ。
だが……瞳の色がダメだった」
心臓が跳ねる。
――ディランの父親。
その答えが、喉の奥で重く沈んだ。
「……気づかれたんだよ。
自分の息子が“利用される”ことをね」
ディランの身体が、愉悦を含んだように微かに笑う。
その笑みは、皮膚の下で別の何かが動いているような、不自然な歪みを帯びていた。
「だから、事故に見せかけて殺したんだ」
視界が揺れた。
膝が崩れそうになるのを、必死にこらえる。
「……最低。」
声が震え、涙が滲む。
目の前の存在は、ただの暴君ではない。
自分の子どもを“素材”として扱い、
そして今――孫であるディランの身体まで奪っている。
こいつは……自分の子どもにまで手をかけた。
それだけじゃない。
今まさに、孫のディランまで――。
「よくもそんなことを…!」
言葉が途切れた。
胸の奥が張り裂けそうだった。
ディランの身体を使った“怪物”は、
その反応を味わうように、ゆっくりと私へ歩み寄る。
「私の血筋は、すべて“王”を完成させるための素材だ。
息子も、孫も――そして君も」
その声は甘く、底なしの闇を孕んでいた。
耳の奥にまとわりつき、逃げ場を奪う。



