「だけど……指導のせいかな」
ディランの口元が、ゆっくりと歪む。
その笑みは誇らしげでありながら、どこか人を嘲るような影を落としていた。
「次期王としての資質は十分だった。
強さも、賢さも、美しさも――すべて備えていた」
胸が締めつけられる。
本来なら祖父が孫を褒めるときの言葉のはずなのに、
今の声には温度がない。
あるのは、冷たい計算と、所有物を眺めるような歪んだ満足だけ。
「ただ……心も強くなりすぎた」
ディランの瞳が、暗い光を宿して私を射抜く。
「大切なものも、執着するものもなくてね。
一時期は、人形のようだったよ」
背筋が震える。
ジョルジュ陛下の声には、失望と同時に、奇妙な愛おしさが混じっていた。
まるで“理想の作品が未完成だった”と嘆く芸術家のように。
「完璧に育てすぎたんだ。
弱みも、隙も、揺らぎもない――そんな器では、私が入り込む余地がなかった」
息が止まる。
「だけど君だよ、ティアナ」
名を呼ぶ声は、甘く、ねっとりと絡みつく。
耳の奥に残り、逃げ場を奪う。
「君のおかげでディランは変わった。
大切なものを失う怖さを知り、弱さを見せた」
胸が痛む。
それは本来、彼が“人間らしさを取り戻した”証のはずなのに――
今はそれが、最悪の形で利用されている。
「しかも君は共鳴が使える。
その力は貴重だ」
ディランの瞳が、宝石のように妖しく揺らめく。
「ディランの器。
そして――お前の血と魂」
声が低く沈み、空気が震えた。
部屋の温度がさらに落ち、息が白くなりそうなほど冷たい。
「それがあれば、私は完璧な王となれる」
その宣言は祝福の言葉のように響いた。
だがその実、底なしの欲望と狂気が渦巻いている。
目の前にいるのは“王”でも“祖父”でもない。
永遠を求め、孫を理想の器へと作り替えた――
ただの怪物だ。
ディランの口元が、ゆっくりと歪む。
その笑みは誇らしげでありながら、どこか人を嘲るような影を落としていた。
「次期王としての資質は十分だった。
強さも、賢さも、美しさも――すべて備えていた」
胸が締めつけられる。
本来なら祖父が孫を褒めるときの言葉のはずなのに、
今の声には温度がない。
あるのは、冷たい計算と、所有物を眺めるような歪んだ満足だけ。
「ただ……心も強くなりすぎた」
ディランの瞳が、暗い光を宿して私を射抜く。
「大切なものも、執着するものもなくてね。
一時期は、人形のようだったよ」
背筋が震える。
ジョルジュ陛下の声には、失望と同時に、奇妙な愛おしさが混じっていた。
まるで“理想の作品が未完成だった”と嘆く芸術家のように。
「完璧に育てすぎたんだ。
弱みも、隙も、揺らぎもない――そんな器では、私が入り込む余地がなかった」
息が止まる。
「だけど君だよ、ティアナ」
名を呼ぶ声は、甘く、ねっとりと絡みつく。
耳の奥に残り、逃げ場を奪う。
「君のおかげでディランは変わった。
大切なものを失う怖さを知り、弱さを見せた」
胸が痛む。
それは本来、彼が“人間らしさを取り戻した”証のはずなのに――
今はそれが、最悪の形で利用されている。
「しかも君は共鳴が使える。
その力は貴重だ」
ディランの瞳が、宝石のように妖しく揺らめく。
「ディランの器。
そして――お前の血と魂」
声が低く沈み、空気が震えた。
部屋の温度がさらに落ち、息が白くなりそうなほど冷たい。
「それがあれば、私は完璧な王となれる」
その宣言は祝福の言葉のように響いた。
だがその実、底なしの欲望と狂気が渦巻いている。
目の前にいるのは“王”でも“祖父”でもない。
永遠を求め、孫を理想の器へと作り替えた――
ただの怪物だ。



