「俺はなぁ――強くなったんだよ」
タキは誇示するように胸を張り、宝石に触れた。
どくん、と脈打つたび、空気が濁る。
「この宝石で! 無敵にな!」
「……そんな偽物」
私は一歩、前に出る。
「美しくなんか、ないわ」
その一言で、タキの表情が一瞬で歪んだ。
「それは――勝ってから言えよ!」
鞘鳴りとともに、タキが剣を抜く。
刃は黒く霞み、禍々しい魔力を纏っていた。
私も腰の剣に手をかける。
「レオ、下がって」
「お、おう……!」
深く息を吸い、剣を引き抜く。
「美しく 酔いしれなさい――ローズクォーツ」
魔力を流し込むと、薔薇色の光が剣を包み、花弁のように舞い散る。
一振りごとに、香り立つような魔力が空気を染めていく。
「……相変わらず、気取った剣だな」
タキが吐き捨てる。
「美しさを理解できないなら」
私は剣先を向け、静かに告げた。
「――教えてあげるわ」
薔薇色の光と、赤黒い魔力。
相反する2つの輝きが、迷宮の中でぶつかり合おうとしていた。



