ユウリside
視界がふっと揺れ、気づけば——
……お嬢様の執務室だった。
「ユウリ、どうしたの?」
椅子に腰かけたお嬢様が、いつも通りの穏やかな声でこちらを見る。
「いえ、なんでもありません」
「そう? 難しい顔してたから」
お嬢様は微笑む。その仕草も、声も、いつも通りのはずなのに。
「それより……お嬢様。髪、切られていませんね」
「ふふ、何言ってるのユウリ。働きすぎで疲れちゃった?」
お嬢様は長い髪を指に巻きつけ、くるくると弄ぶ。
——おかしい。
「いえ……なんだか、夢を見ているようで」
「夢、ね」
お嬢様はクスリと笑った。
あたたかな空気。いつもの日常。
なのに胸の奥がざわつく。
お嬢様の後を歩き、廊下へ出る。
……違う。
これは違う。夢だ。
今は、迷宮にいるはずだ。
「お嬢様……すみません。私は、それ以上先には行けません」
「どうして?
ユウリは私の執事でしょ?
私の行くところに、一緒に来てくれるよね?
……私のそばにいてくれるって、言ったよね?」
――にたり。
小首を傾げる。
口元だけが、不自然に歪んだ。
……ああ。
やっぱり違う。
声も、仕草も、記憶の中のお嬢様と寸分違わない。
それでも決定的に――違う。
「お嬢様。……いけません」
「……そっか」
急に、声の温度が落ちた。
視界がふっと揺れ、気づけば——
……お嬢様の執務室だった。
「ユウリ、どうしたの?」
椅子に腰かけたお嬢様が、いつも通りの穏やかな声でこちらを見る。
「いえ、なんでもありません」
「そう? 難しい顔してたから」
お嬢様は微笑む。その仕草も、声も、いつも通りのはずなのに。
「それより……お嬢様。髪、切られていませんね」
「ふふ、何言ってるのユウリ。働きすぎで疲れちゃった?」
お嬢様は長い髪を指に巻きつけ、くるくると弄ぶ。
——おかしい。
「いえ……なんだか、夢を見ているようで」
「夢、ね」
お嬢様はクスリと笑った。
あたたかな空気。いつもの日常。
なのに胸の奥がざわつく。
お嬢様の後を歩き、廊下へ出る。
……違う。
これは違う。夢だ。
今は、迷宮にいるはずだ。
「お嬢様……すみません。私は、それ以上先には行けません」
「どうして?
ユウリは私の執事でしょ?
私の行くところに、一緒に来てくれるよね?
……私のそばにいてくれるって、言ったよね?」
――にたり。
小首を傾げる。
口元だけが、不自然に歪んだ。
……ああ。
やっぱり違う。
声も、仕草も、記憶の中のお嬢様と寸分違わない。
それでも決定的に――違う。
「お嬢様。……いけません」
「……そっか」
急に、声の温度が落ちた。



