「殿下」
一歩、前に出る。
「どうした? レイ」
「レイさん?」
殿下とティアナ様が、同時にこちらを見る。
「殿下……確かに、今のあなたは私の理想です」
静かに告げる。
「ですが、それは殿下ではありません」
2人の表情がわずかに揺れた。
「私が知っている殿下は、次期国王の座に興味がないくせに、それでも誰よりも国民のために動く方です」
胸の奥が熱くなる。
「今のあなたは……つまらない」
ティアナ様が息を呑む気配がした。
「私が尊敬し、お支えしているのは、 いつも抜け出すことばかり考えて、挙句の果てに『レイを王子にする』なんて軽口を叩くような人です」
言葉が自然とこぼれる。
「手がかかるけれど……
私は、そんな殿下がいいんです」
殿下の姿が、ほんの一瞬だけ揺らいだ。
レイは視線をティアナへ向ける。
「ティアナ様……私は、あなたこそ殿下の隣に立つべき方だと思っています」
ティアナの瞳が揺れる。
「今のあなたは、完璧な理想です。
ですが……あなたも殿下と同じです。
そんな“型”に収まる方ではない」
静かに息を吸う。
「私は行きます」
踵を返した瞬間——
幻は、何も言わずに霧のように消えた。
一歩、前に出る。
「どうした? レイ」
「レイさん?」
殿下とティアナ様が、同時にこちらを見る。
「殿下……確かに、今のあなたは私の理想です」
静かに告げる。
「ですが、それは殿下ではありません」
2人の表情がわずかに揺れた。
「私が知っている殿下は、次期国王の座に興味がないくせに、それでも誰よりも国民のために動く方です」
胸の奥が熱くなる。
「今のあなたは……つまらない」
ティアナ様が息を呑む気配がした。
「私が尊敬し、お支えしているのは、 いつも抜け出すことばかり考えて、挙句の果てに『レイを王子にする』なんて軽口を叩くような人です」
言葉が自然とこぼれる。
「手がかかるけれど……
私は、そんな殿下がいいんです」
殿下の姿が、ほんの一瞬だけ揺らいだ。
レイは視線をティアナへ向ける。
「ティアナ様……私は、あなたこそ殿下の隣に立つべき方だと思っています」
ティアナの瞳が揺れる。
「今のあなたは、完璧な理想です。
ですが……あなたも殿下と同じです。
そんな“型”に収まる方ではない」
静かに息を吸う。
「私は行きます」
踵を返した瞬間——
幻は、何も言わずに霧のように消えた。



