はぐれてしまった。
気づいていたのに。
私としたことが、なんという失態だ。
舌打ちを噛み殺す。
(くそ……)
お嬢様……どうかご無事で。
そもそも王妃教育へ行かせたのが間違いだったのだろうか。
あれほど嫌がっていたのだから、無理にでも止めるべきだったのかもしれない。
……いや、違う。
どれほど危険から遠ざけようとしても、
お嬢様は必ず立ち向かってしまう。
そういうお方だ。
レイも、きっと焦っているはずだ。
ディラン殿下と逸れてしまったのだから。
後悔しても遅い。
今は進むしかない。
「……心配ですか?」
レイが静かに問いかけてくる。
「はい。ですが、お嬢様はお強い方です。きっと大丈夫です」
そう答えると、レイはふっと微笑んだ。
「そうですね。殿下が気に入るほどですから」
確かに――
あのディラン殿下が、あれほど強く執着するほどに。
「お嬢様が、まさか殿下とうまくいってしまうとは……」
思わず本音が漏れた。
お嬢様が幸せであることは、何よりも嬉しい。
それでも胸の奥が、少しだけざわつく。
「私は、非常に嬉しいですよ」
レイは即座にそう言い、柔らかく笑った。
「殿下には、彼女しかいませんから」
その笑みはどこか楽しげで、迷いがない。
「……お嬢様は、王妃にはならないと思いますよ」
静かに告げる。
お嬢様はあの座を望んでいない。
権力にも栄誉にも縛られることを嫌う方だ。
「ええ。それも承知の上でしょう」
眼鏡の奥で、レイの瞳がきらりと光る。
「とりあえず……お互い、主人の心配が尽きませんね」
「そうですね」
苦笑しながらも、自然と足は前へ進む。
「先を急ぎましょう」
「はい」
強く頷いた。
――立場も、想いも、それぞれ違う。
それでも仕える者として願うことは同じだ。
どうか無事で。
そして、選ぶのなら――
お嬢様ご自身が、心から望む未来を。
そのためなら、私はどこまでもそばにいる。
気づいていたのに。
私としたことが、なんという失態だ。
舌打ちを噛み殺す。
(くそ……)
お嬢様……どうかご無事で。
そもそも王妃教育へ行かせたのが間違いだったのだろうか。
あれほど嫌がっていたのだから、無理にでも止めるべきだったのかもしれない。
……いや、違う。
どれほど危険から遠ざけようとしても、
お嬢様は必ず立ち向かってしまう。
そういうお方だ。
レイも、きっと焦っているはずだ。
ディラン殿下と逸れてしまったのだから。
後悔しても遅い。
今は進むしかない。
「……心配ですか?」
レイが静かに問いかけてくる。
「はい。ですが、お嬢様はお強い方です。きっと大丈夫です」
そう答えると、レイはふっと微笑んだ。
「そうですね。殿下が気に入るほどですから」
確かに――
あのディラン殿下が、あれほど強く執着するほどに。
「お嬢様が、まさか殿下とうまくいってしまうとは……」
思わず本音が漏れた。
お嬢様が幸せであることは、何よりも嬉しい。
それでも胸の奥が、少しだけざわつく。
「私は、非常に嬉しいですよ」
レイは即座にそう言い、柔らかく笑った。
「殿下には、彼女しかいませんから」
その笑みはどこか楽しげで、迷いがない。
「……お嬢様は、王妃にはならないと思いますよ」
静かに告げる。
お嬢様はあの座を望んでいない。
権力にも栄誉にも縛られることを嫌う方だ。
「ええ。それも承知の上でしょう」
眼鏡の奥で、レイの瞳がきらりと光る。
「とりあえず……お互い、主人の心配が尽きませんね」
「そうですね」
苦笑しながらも、自然と足は前へ進む。
「先を急ぎましょう」
「はい」
強く頷いた。
――立場も、想いも、それぞれ違う。
それでも仕える者として願うことは同じだ。
どうか無事で。
そして、選ぶのなら――
お嬢様ご自身が、心から望む未来を。
そのためなら、私はどこまでもそばにいる。



