お嬢様とのデートの帰りの列車の中でのことを思い出す。
『世界中がさ、敵になったとしてもさ。
俺は絶対、お嬢様の味方だよ。
何があっても』
『……私を、どんな極悪人にする気なのよ』
呆れたように笑ったその横顔。
その一瞬を思い出すだけで胸が熱くなる。
『そうだね。
でも、いっそその方が——』
『お嬢さまを独占できそうだし』
あの時の言葉は、冗談なんかじゃない。
あれは――全部、本心だ。
本気でそう思ってる。
だって、そうすれば俺しか見ないでしょ?
俺しか必要じゃなくなるでしょ?
それくらい俺は、お嬢様しかいらない。
世界がどうなろうと構わない。
お嬢様が俺を見てくれるなら、それでいい。
だからこそ許せない。
お嬢様じゃない“偽物”が、俺の前に立っていることが。
「テオ……」
偽物が本物の声色を真似てくる。
その瞬間、怒りが静かに沸騰した。
俺は迷わず魔宝石の名を呼ぶ。
「紅く、鋭く、我が想いに応えよ――スピネル」
剣が赤黒く瞬き、空気が震える。
魔力が刃に絡みつき、熱を帯びていく。
「縛れ、スピネル!」
赤黒い光が鞭のように伸び、偽物の身体を絡め取った。
光は容赦なく締め上げ、偽物の肌に亀裂のような光の線が走る。
偽物はもがき、幻の涙を零す。
その涙すら、お嬢様のものとは似ても似つかない。
俺の心は一切揺れない。
むしろ――本物を汚された怒りで、視界が赤く染まる。
「本物の記憶を汚すな」
低く呟き、剣を振り下ろす。
「砕けろ!」
赤黒い光が爆ぜ、偽物の身体を一瞬で粉砕した。
破片は光の粒となって消え、空間に静寂が戻る。
手の中には、もう偽物はいない。
「愛してるよ、お嬢様。
……すぐ行くからね」
その声は、誰に聞かせるでもなく、
ただひたすらに“本物”だけへ向けられたものだった。
お嬢様を傷つけず、
しかし邪悪な幻影には一切の容赦をしない――
それが、俺の愛し方だ。
『世界中がさ、敵になったとしてもさ。
俺は絶対、お嬢様の味方だよ。
何があっても』
『……私を、どんな極悪人にする気なのよ』
呆れたように笑ったその横顔。
その一瞬を思い出すだけで胸が熱くなる。
『そうだね。
でも、いっそその方が——』
『お嬢さまを独占できそうだし』
あの時の言葉は、冗談なんかじゃない。
あれは――全部、本心だ。
本気でそう思ってる。
だって、そうすれば俺しか見ないでしょ?
俺しか必要じゃなくなるでしょ?
それくらい俺は、お嬢様しかいらない。
世界がどうなろうと構わない。
お嬢様が俺を見てくれるなら、それでいい。
だからこそ許せない。
お嬢様じゃない“偽物”が、俺の前に立っていることが。
「テオ……」
偽物が本物の声色を真似てくる。
その瞬間、怒りが静かに沸騰した。
俺は迷わず魔宝石の名を呼ぶ。
「紅く、鋭く、我が想いに応えよ――スピネル」
剣が赤黒く瞬き、空気が震える。
魔力が刃に絡みつき、熱を帯びていく。
「縛れ、スピネル!」
赤黒い光が鞭のように伸び、偽物の身体を絡め取った。
光は容赦なく締め上げ、偽物の肌に亀裂のような光の線が走る。
偽物はもがき、幻の涙を零す。
その涙すら、お嬢様のものとは似ても似つかない。
俺の心は一切揺れない。
むしろ――本物を汚された怒りで、視界が赤く染まる。
「本物の記憶を汚すな」
低く呟き、剣を振り下ろす。
「砕けろ!」
赤黒い光が爆ぜ、偽物の身体を一瞬で粉砕した。
破片は光の粒となって消え、空間に静寂が戻る。
手の中には、もう偽物はいない。
「愛してるよ、お嬢様。
……すぐ行くからね」
その声は、誰に聞かせるでもなく、
ただひたすらに“本物”だけへ向けられたものだった。
お嬢様を傷つけず、
しかし邪悪な幻影には一切の容赦をしない――
それが、俺の愛し方だ。



