迷宮の通路は、王城の地下とは思えないほど静かだった。
足音が石床に吸い込まれていくようで、歩くたびに胸の奥がざわつく。
そして――
薄暗い部屋に足を踏み入れた瞬間、思わず足が止まった。
壁際から中央にかけて、猫のような獣の石像がずらりと並んでいる。
「……多くない?」
数えようとして、途中で諦めた。
10体以上。下手すると20はある。
「とりあえず壊してみる?」
テオが軽く言い、剣を抜く。
「紅く鋭く、我が想いに応えよ――スピネル」
赤い光が刃を包み、一閃。
石像の一体が両断され、砕けた石が床に崩れ落ちた。
だが次の瞬間。
砕けたはずの破片が、ぎしりと軋む音を立てて動き出す。
石が引き寄せられるように集まり、元の形へと戻り始めた。
「ありゃ」
テオの間の抜けた声。
しかも――
増えている。
嫌な予感が背中を這った。
「……これ、もしかして」
私は喉を鳴らす。
「正解を一つだけ選ばないとダメなやつ?」
「まあ、動かないだけマシだよね」
テオがそう言った、その瞬間。
ゴリ……と、石が擦れる音が四方から響いた。
「……え?」
石像たちが、一斉にこちらを向く。
重たい足音。
逃げ道を塞ぐように、ゆっくりと距離を詰めてくる。
「動くじゃん、それ!」
「でも、無闇に斬るわけにはいかないですよね」
セナが静かに言った。
「魔宝石が使われているはず!
悪意のある個体を見つけないと」
私は、スッと息を吐き、
集中する。
どこだ…
ほんのわずかな違和感。
他より、わずかに濁った気配。
――黒いモヤ。
見えた!
「セナ、右から3番目!」
「任せてください」
セナが一歩、前に出る。
その瞬間――
猫の石像たちが一斉に動き出した。
「まずい、もう分かんないです!」
「俺も!」
セナとテオが叫ぶ。
「ほら、あの……目つき悪いやつ!」
私が慌てて指さす。
「全部同じです!」
「今度は左から4番目!」
「えー、どれ!?」
ダメだ。
完全に混戦だ。
足音が石床に吸い込まれていくようで、歩くたびに胸の奥がざわつく。
そして――
薄暗い部屋に足を踏み入れた瞬間、思わず足が止まった。
壁際から中央にかけて、猫のような獣の石像がずらりと並んでいる。
「……多くない?」
数えようとして、途中で諦めた。
10体以上。下手すると20はある。
「とりあえず壊してみる?」
テオが軽く言い、剣を抜く。
「紅く鋭く、我が想いに応えよ――スピネル」
赤い光が刃を包み、一閃。
石像の一体が両断され、砕けた石が床に崩れ落ちた。
だが次の瞬間。
砕けたはずの破片が、ぎしりと軋む音を立てて動き出す。
石が引き寄せられるように集まり、元の形へと戻り始めた。
「ありゃ」
テオの間の抜けた声。
しかも――
増えている。
嫌な予感が背中を這った。
「……これ、もしかして」
私は喉を鳴らす。
「正解を一つだけ選ばないとダメなやつ?」
「まあ、動かないだけマシだよね」
テオがそう言った、その瞬間。
ゴリ……と、石が擦れる音が四方から響いた。
「……え?」
石像たちが、一斉にこちらを向く。
重たい足音。
逃げ道を塞ぐように、ゆっくりと距離を詰めてくる。
「動くじゃん、それ!」
「でも、無闇に斬るわけにはいかないですよね」
セナが静かに言った。
「魔宝石が使われているはず!
悪意のある個体を見つけないと」
私は、スッと息を吐き、
集中する。
どこだ…
ほんのわずかな違和感。
他より、わずかに濁った気配。
――黒いモヤ。
見えた!
「セナ、右から3番目!」
「任せてください」
セナが一歩、前に出る。
その瞬間――
猫の石像たちが一斉に動き出した。
「まずい、もう分かんないです!」
「俺も!」
セナとテオが叫ぶ。
「ほら、あの……目つき悪いやつ!」
私が慌てて指さす。
「全部同じです!」
「今度は左から4番目!」
「えー、どれ!?」
ダメだ。
完全に混戦だ。



