第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない


「……とりあえず、真面目な話」

セナがすっと表情を切り替える。
その変化に、私も自然と背筋が伸びた。

「うん」

「正直に言いますね。殿下には、ちゃんと話して協力してもらった方がいい」

少しだけ声が低くなる。

「相手は国王です。俺たちなんて……捨て駒ですよ」

「それも、わかってるんだけど……さ」

言葉が喉の奥でつかえる。
わかってる。
みんなを危険に巻き込もうとしていることも、慎重に準備しなきゃいけないことも。

「……まあ、わかってるなら、いいです」

セナはそれ以上追及しなかった。
その優しさが、逆に胸に刺さる。

「とりあえず……ちゃんと話す。そのうち」

「……後ろ向きですね」

小さく笑いながら言われる。