陛下直属の騎士団は、一瞬だけ動きを止めた。
だが、それでも剣先は下がらない。
額に汗を浮かべ、喉を鳴らしながらも、
彼らは“王命”という鎖に縛られていた。
俺が――
本気で剣を構えた、その刹那。
「……おいおい」
低く、空気を震わせる声が廊下に落ちた。
「次期国王に剣を向けるとはな。
いくら陛下の命令でも、度が過ぎている」
足音が近づく。
ゆっくりと、しかし一歩ごとに場の空気が締め上げられていく。
その存在感だけで、騎士たちの背筋が強張るのがわかった。
振り向くと――
そこに立っていたのは、アランだった。
「……兄上」
胸の奥が、ひどく痛む。
ずっと嫌われていると思っていた。
いや、そう思い込むことで、自分を守っていただけなのかもしれない。
「で、ですが……!」
騎士の一人が声を上げるが、アラン殿下は一歩前へ出て、
静かだが絶対に逆らえない声音で命じた。
「下がれ」
その一言で、空気が変わった。
騎士たちは息を呑み、剣を下げ、道を開ける。
アラン殿下は俺を見据えた。
「ディラン」
幼い頃、何度も呼ばれた声。
胸が詰まる。
「行け。
……間に合わなくなる」
短い言葉。
だが、その裏にある焦りと、俺を信じる強さが痛いほど伝わった。
「……ありがとうございます」
深く頭を下げ、踵を返す。
その瞬間――
「ディラン」
呼び止められ、振り返る。
アラン殿下はまっすぐ俺を見ていた。
「気をつけろ。必ず生きて戻れ」
時間が止まったようだった。
俺の身を案じた言葉。
ずっと嫌われていると思っていたから。
胸の奥が熱くなる。
俺はただ走り出した。
兄の温かな視線を背に受けながら。
だが、それでも剣先は下がらない。
額に汗を浮かべ、喉を鳴らしながらも、
彼らは“王命”という鎖に縛られていた。
俺が――
本気で剣を構えた、その刹那。
「……おいおい」
低く、空気を震わせる声が廊下に落ちた。
「次期国王に剣を向けるとはな。
いくら陛下の命令でも、度が過ぎている」
足音が近づく。
ゆっくりと、しかし一歩ごとに場の空気が締め上げられていく。
その存在感だけで、騎士たちの背筋が強張るのがわかった。
振り向くと――
そこに立っていたのは、アランだった。
「……兄上」
胸の奥が、ひどく痛む。
ずっと嫌われていると思っていた。
いや、そう思い込むことで、自分を守っていただけなのかもしれない。
「で、ですが……!」
騎士の一人が声を上げるが、アラン殿下は一歩前へ出て、
静かだが絶対に逆らえない声音で命じた。
「下がれ」
その一言で、空気が変わった。
騎士たちは息を呑み、剣を下げ、道を開ける。
アラン殿下は俺を見据えた。
「ディラン」
幼い頃、何度も呼ばれた声。
胸が詰まる。
「行け。
……間に合わなくなる」
短い言葉。
だが、その裏にある焦りと、俺を信じる強さが痛いほど伝わった。
「……ありがとうございます」
深く頭を下げ、踵を返す。
その瞬間――
「ディラン」
呼び止められ、振り返る。
アラン殿下はまっすぐ俺を見ていた。
「気をつけろ。必ず生きて戻れ」
時間が止まったようだった。
俺の身を案じた言葉。
ずっと嫌われていると思っていたから。
胸の奥が熱くなる。
俺はただ走り出した。
兄の温かな視線を背に受けながら。



