ディランside
ティアナを無事に送り出したあと、
令嬢たちの輪をどうにか振り切って廊下へ出た瞬間――胸の奥がざわりと波立った。
ジョルジュ陛下の姿が、どこにもない。
つい先ほどまで玉座の間にいたはずだ。
レイもいない。
だが護衛も侍従も、誰ひとりとして彼の行方を知らない。
「……くそ」
嫌な予感が、氷の指先で背骨をなぞる。
あの男が姿を消すときは、決まって何かを仕掛けるときだ。
ましてティアナを送り出した直後――最悪のタイミング。
歩幅が自然と大きくなる。
進むほどに胸のざわめきは、警鐘のように激しさを増していった。
そして――
角を曲がった瞬間、空気が変わった。
騎士団たちが剣を抜き、こちらへ向けて構えている。
その刃先は微かに震えていたが、俺を狙う角度だけは揺らがない。
「……何をしている」
低く問いかけても、誰も答えない。
ただ怯えを隠しきれない目だけが、俺を射抜いてくる。
ゆっくりと、俺も剣に手をかけた。
(――やる気か)
静寂が、爆ぜる寸前のように張りつめた。
ティアナを無事に送り出したあと、
令嬢たちの輪をどうにか振り切って廊下へ出た瞬間――胸の奥がざわりと波立った。
ジョルジュ陛下の姿が、どこにもない。
つい先ほどまで玉座の間にいたはずだ。
レイもいない。
だが護衛も侍従も、誰ひとりとして彼の行方を知らない。
「……くそ」
嫌な予感が、氷の指先で背骨をなぞる。
あの男が姿を消すときは、決まって何かを仕掛けるときだ。
ましてティアナを送り出した直後――最悪のタイミング。
歩幅が自然と大きくなる。
進むほどに胸のざわめきは、警鐘のように激しさを増していった。
そして――
角を曲がった瞬間、空気が変わった。
騎士団たちが剣を抜き、こちらへ向けて構えている。
その刃先は微かに震えていたが、俺を狙う角度だけは揺らがない。
「……何をしている」
低く問いかけても、誰も答えない。
ただ怯えを隠しきれない目だけが、俺を射抜いてくる。
ゆっくりと、俺も剣に手をかけた。
(――やる気か)
静寂が、爆ぜる寸前のように張りつめた。



