蛍の季節に、キミはまた会いに来る


ただ、アスファルトの上に散らばる小物たちを見つめていた。

さっきまで、隣にいたのに。

さっきまで、笑っていたのに。

黒崎くんは、アスファルトの上に横たわっていて、目を閉じていた。

どう呼吸をしたらいいのかわからない。

何から動いたらいいのかもわからない。

わからない。

わからない。

いつの間にか到着していた救急隊員に制止されて、ようやく現実味が輪郭を持つ。

「……お友達の方?」

その問いに答えることができず、ただ、二、三歩後ずさった。

「……やだ」

膝が崩れる。

気づいたら、横たわる黒崎くんの肩を揺らしていた。

「黒崎くん……ねぇ……黒崎くん!」

もっと強く。

彼が目を覚ますように。

「起きてよ……起きてってば!」

「落ち着いてください!搬送します!一緒に救急車に乗って!」

取り乱す私の体を、救急隊員の人が支えて立たせた。

意識のない黒崎くんが、ストレッチャーで救急車に乗せられる。

ストレッチャーの脚の金属音。

乗り込んだ後に、閉められるドアの乾いた音。

搬送先の病院を確認する、緊迫したやりとり。

処置を施される、黒崎くんの体。

何か質問をされた気がするけど、全ての音が、遠ざかっていく。

自分の激しい呼吸の音だけが、耳を占領していた。