蛍の季節に、キミはまた会いに来る


ドヤ顔で決めて、得意げに胸を張るから、私はおかしくて思わず笑ってしまった。

両手いっぱいの買い物袋。

小物ばかりとはいえ、量が量だけにずしりと重たい。

片方のビニールの持ち手が手のひらに食い込むので、何度か持つ手を変える。

すると、

「持つよ」

重たい方のビニール袋を、彼がすっと持ち上げた。

「いいよ。大丈夫。黒崎くんの方が重たいものを持ってるのに」

私がビニール袋を取り返そうとすると、黒崎くんは私から袋を遠ざけた。

「バーカ。俺の方が力があるだろ?無理すんなって」

眩しい。

目の前から照らされる西日がじゃない。

黒崎くんの優しすぎる笑顔が。

オレンジ色に照らされると余計にかっこよくて直視できない。

私が黒崎くんの笑顔に見惚れているのを、黒崎くんはわかっていた。

面白がって、わざと角度を変えて、自分の笑顔を見せてくる。

「自意識過剰」

照れ隠しで言うと、

「見惚れてたくせに」

と、黒崎くんはイタズラに笑った。

「お化け屋敷、誰よりもみんなを驚かせてやろうぜ」

「黒崎くんが一番張り切ってるんじゃない?」

「そりゃ張り切るよ。だって古川と付き合えたんだから」

黒崎くんに言われて、私の顔にボッと火がついた。

真っ赤になった私の顔を見て、黒崎くんがからかうように笑う。

カサカサと鳴るビニール袋も、私たちの心のように楽しそうだった。

「あっ! 信号変わる!」

目の前の横断歩道の信号が点滅し始めた。