蛍の季節に、キミはまた会いに来る


「ねぇ、文化祭、何かしたいものとかないわけ?」

「え?したいもの?」

真衣に向かって眉を寄せる。

今、文化祭のクラス出し物についてみんなで案を出し合っているところだ。

自由にグループに分かれて話し合い、出てきた案を学級委員が黒板に書き出している。

「そうよ!何かあるでしょ?候補のひとつやふたつ」

不機嫌だけど、明らかに前と違う口調の真衣に「ないよ」と、苦笑しながら答える。

「ないわけないでしょ?しかも、あんたら、付き合ってるんでしょ?」

「え!?」

「え!?って、本当アホみたいな声」

私の驚く声を真似した真衣は呆れてため息混じりに言った。

「周りは知らなくても、私にはわかるの。どんだけ好きだったと思ってるの?修学旅行から帰ってきてすぐに付き合うとか、反則でしょ。私の出番なしじゃん」

「ごめん。言おうと思ってたのに、言えるタイミングがなくて」

改めて、付き合ってるなんて言われるとまだまだ実感湧かなくて、照れてしまう。

黒崎くんを好きな真衣の気持ちを考えると、もちろん、申し訳なさもある。

それもあって、付き合うことになったと報告ができなかったんだ。

「まぁた変なこと考えてるでしょ。いい?変に気を遣って同情とかするのやめてよね。そういうの大っ嫌いだから」

言葉はきついけど、言っている表情はとても優しい。

「付き合ってるならあるでしょ?一緒にどんなんことがしたいとかって!」

「だから、ないよ。一緒にいられるだけで、幸せだし」

語尾になるにつれて、恥ずかしさでだんだん小声になる。

彼女はその言葉に驚いたのか、目を丸くして「ハッ」と息を吐き出すように笑った。