「気づくのが遅かっただけで」
……黒崎くん。
「修学旅行の時、ふたりで写真撮っただろ?あの時、内心めっちゃ緊張しててヤバかったんだ」
「………」
「あの時告白してしまってたら、もう後には引けないだろ?振られたりでもしたら、修学旅行が最悪なことになるし」
黒崎くんが足元にあった小石を川に向かって軽く蹴る。
ぽちゃんと音を立てた小石は、ゆっくりと川底に落ちていった。
「ごめんな。学校でも素っ気なくしたかもしれないけど、あれ、古川の顔が見れなくてってだけだから」
そ、そんなことがあったんだ。
素っ気なくしていたのは、私の方だ。
私も黒崎くんの顔が見れなくて逃げていたから。
黒崎くんが私に素っ気なくしていたなんて、全く気が付かなかった。
「古川」
黒崎くんが、泳がせていた目をまっすぐ私に向ける。
「は、はい」
心臓がうるさいくらい高鳴った。
口から出てきそうになる心臓を慌てて飲み込む。
「好きだ」
黒崎くんの言葉と共に、私たちの間を風が通った。
ふたりの髪を優しく撫でていく。



