蛍の季節に、キミはまた会いに来る


学校でも顔を合わせるとぎこちなくなるから、何となく避けてしまっていた。

私の隣に来た黒崎くんを真っ直ぐ見ることができなくて、ゆっくりと流れる水面に視線を落とした。

「来てたの?って言い方もおかしいか」

そう言って、黒崎くんは静かに笑った。

「ここに、古川がいるってわかって来たのに」

その言葉に、体中の細胞が暴れ回る。

そんなこと簡単に言わないでよ。

ざわついた細胞が静かになるまで、時間がかかるんだから。

「学校以外で、誰にも邪魔されずに、会える場所っつーの?」

な、何を言い出すの?

湿度は十分あるはずなのに、口の中が急に砂漠状態になる。

ごくりと飲み込めるのは、空気だけだった。

ゆっくり流れる水面が、隣の彼の様子をうつしてくれる。

「修学旅行の時さ……」

黒崎くんが、川を見つめたまま、ポツリと言った。

「ずっと、言おうとしてた」

心臓が、一度大きく鳴る。

「好き、なんだと思う」

……えっ?

驚いて、勢いよく隣の黒崎くんを見上げた。

「多分、だいぶ、前から」

「………」