蛍の季節に、キミはまた会いに来る


変な緊張に耐えきれなくなって、なんでもない振りをしながら自販機でジュースをふたつ買う。

ひとつは、部屋で待つ真衣の分だ。

ドキドキで震える手を抑えようと、冷えた缶をギュッと握った。

「……まぁ、その。一緒にいられて、楽しかった、ってゆーか」

「………」

「もっと一緒にいたかったってゆーか。まぁ、うん……楽しかった」

珍しくしどろもどろな黒崎くんが少し面白くて、小さく吹き出してしまった。

「わ、笑うなよ」

「ご、ごめん」

それでも、笑いが止まらない。

ロビーには他にも人がいるのに、私には黒崎くんしか目に入らない。

私たちの背後では、たくさんの缶を冷やそうと自販機がブーンと音を立てている。

その音さえも、今の私にとっては特別だ。

黒崎くんも、どこか落ち着かなさそうに見える。

プシュっと勢いよく缶をあけ、私から目を逸らして炭酸を飲んでいた。

シュワシュワと炭酸の弾ける音がする。

それと同じくらい、私の心臓も弾けていた。

「古川、2本も飲むの?」

「こ、これは真衣の分です!」

必死に言うと、黒崎くんがまた笑った。

炭酸の泡のように、私の恋心も弾ける。

好き。

この気持ち、もう止められない。