「……あ」
真衣と話をした後飲み物を買いにロビーに行くと、偶然同じ自販機の前で黒崎くんに会った。
腰を曲げながら缶を取り出していた黒崎くんが、私の声に顔をあげる。
「古川」
私を見て微笑む。
なんだろう。
毎日会っているのに、こうやって夜に会うと、なんだか不思議な感覚になる。
いつものジャージ姿なのに、どうしてこんなに特別に見えるんだろう。
「え……なに?なんか泣いてる?」
さっきまで真衣と話していたせいで目が潤んだままなのか、私の顔を覗き込んできた黒崎くんが心配そうに聞いてきた。
「ああ、なんでもないよ。嬉し涙」
私が言うと、黒崎くんは眉を寄せた。
「……今日さ」
彼が言いかけてやめる。
「あ〜、やっぱ、なんでもない」
「えー、なんで?」
「なんでもないって」
心なしか、黒崎くんの頬が赤くなっているような気がする。
その表情を見ただけで、鼓動が激しさを増す。
「き、気になるから言ってよ〜」
き、聞くなよ、私。



