蛍が消える、その夜に


「古川の席は窓際の後ろから2番目の席な」

「はい」

先生が指差した先には、2つの空席があった。

ひとつは私の席。そして、その後ろにもうひとつ。

誰の席か確認しなくても、きっとさっき廊下で話しかけてきた彼の席なんだとわかる。

私は、机と机の狭い隙間を鞄が誰にもあたらないように胸に抱いて身を小さくして席まで進んだ。

鞄を机の横にかけ腰掛けると、隣の席の男子が早速声をかけてきた。

「古川さんって言うんだね。よろしく」

驚いて鼓動が乱れたけれど、平然を装って小さく頭を下げた。

「俺、瀬戸 キラ。わからないことがあったらなんでも聞いてね」

「ありがとう、ございます」

一応お礼だけは言っておくけど、聞くことはないと思う。

私に話しかけてきた男子は、廊下ですれ違った彼の髪と同じように明るい色に染められていて、彼もまただらしなく制服を着崩していた。

挨拶だけはかわしておくけど、これから先、“彼ら”とは関わり合わないと思う。

ぜひ、そうしたい