「あれ?キラたちどこ行った?」
さっきまで私たちの前を歩いていたのに、この人の多さで見失ってしまったみたいだ。
しばらく探してみたけど、近くには見当たらない。
初夏の風が山の上からすっと吹いてくる。
お寺の大きな屋根の向こうには、京都の街が広がっていた。
「ほら、みて」
黒崎くんが指差す方を見ると、木の舞台が空へ突き出したみたいな景色が目の前に広がった。
……清水の舞台。
「すごい……」
思わず声が漏れる。
その時黒崎くんがスマホを取り出した。
「ここで写真撮ろうよ」
「え、ふたりで?」
「うん、修学旅行の記念」
そう言って、黒崎くんは少し照れたように笑った。
舞台の手すりの近くに立つと、風がふわりと髪を揺らした。
スマホを前に掲げて画面を見ながら『もう少しこっち』と私を近づけた。
黒崎くんの肩が、すぐ横にある。
「ち、近くない?」
「こうしないと画面に入らないんだって」
そう言いながら、黒崎くんはスマホをもっと高く持ち上げた。
画面の中には、京都の景色と、肩を寄せ合う私たち。
胸がまたトクンと鳴る。



