蛍の季節に、キミはまた会いに来る


「並ぶの、俺、なんか苦手なんだよな」

まぁ、私も、そう。

心の中で答え、ただ頷く。

「なんでこんな人多いんだ?修学旅行生もすごい数だな」

「まぁ、京都だしね。毎日観光客がいっぱいだと思うよ」

どうでもいい会話しかしていないのに、人に押されてグッと近づく彼との距離に心臓が速くなる。

「ご、ごめん」

後ろの人に押されて黒崎くんの背中におでこがぶつかり、慌てて身体を離した。

「大丈夫か?もっとこっち来いって」

黒崎くんから腕を引っ張られ、さらに距離が縮まる。

「みぃたぁぞぉ」

黒崎くんの前に並んでいる瀬戸くんが、私たちを振り返り目を細くする。

「俺の後ろでイチャイチャするなよ。人前で恥ずかしい」

「これのどこがイチャイチャになるんだよ」

黒崎くんは小さく笑った。

「聖菜ちゃん、俺の前にどうぞ。俺が守ってあげる」

ウィンクしながら私に手招きする瀬戸くんに苦笑していると、瀬戸くんの前に並んでいた真衣さんが口元を引きつらせて私を睨んでいた。

ああ、やばい。

また何か言われる……。

「アホなこと言ってないで、前見ろっ!進んでるぞ」