真衣さんの問いには無視して私に話をふってきた黒崎くん。
もちろん彼女の睨みが私を刺している。
川辺でもう一度指切りを交わしてから、黒崎くんと目を合わせることがさらに難しくなった。
黒崎くんの声を聞くだけで、心臓が壊れそうになる。
「わ、私は京都なんて知らないから。みんなが行くところについていく」
「俺も京都初めてなんですけど」
笑いながら意地悪に言う黒崎くん。
「あ、そうだよね……ごめん」
「まぁ、俺についてくればいいよ。いいとこチェックしとくし」
黒崎くんが言うと、彼女の口は尖っていき、逆に瀬戸くんの口元は緩んでいった。
「おいおいおいおい~!たっちゃんかっこつけちゃって~」
黒崎くんの腕をクイクイっと肘で突いてくる瀬戸くんに、うるさそうに眉を寄せた黒崎くん。
だけど、瀬戸くんの頭をはたいた表情はどこか嬉しそうだった。
どこをまわって、どこで買い物をするのか、簡単なルートを決める時でも、私はできるだけ参加せずに曖昧に頷くだけにする。
いつ、誰に見られているかわからないから。
黒崎くんのことが好きだって気づいてしまったけど、問題になりそうなことは極力しない。
それが最善策だ。



