蛍の季節に、キミはまた会いに来る


「喜美子さんは娘と喧嘩しているのにここにきていたんだよ。変でしょう?」

「え?喧嘩をしたのに、なんで?」

私が聞くと豊田さんは、湯呑みに口をつけながら肩をすくめた。

「私と話をすると落ち着くんだって。癒し系かな?」

お茶目に笑う豊田さん。

「聖菜ちゃんも何があったのかは知らないけど、私でよかったらなんでも相談にのるよ。お父さんに言いづらいことでもなんでも」

私は微笑む。

「達也のことで悩んでいるのであれば、私が達也をしつけるから」

「い、いえ!そんな!黒崎くんは関係ない、です」

嘘まるみえ。

こういう時、どう答えたらいいのかな。

出てこない話題を探しながら、モジモジと身体を動かすことしかできない。

思っていることをそのまま口に出せたらどれだけ楽だろうと思うけど、それが簡単に出来たら苦労しないし。

どこにいってもうまくやっていけないってことは、私に問題があるのだろう。

「聖菜ちゃん。来週、ホタルが見れると思うよ」

突然、豊田さんが話題を変えた。

ホタル……。

「気温や湿度も大切だけど、雨上がりの午後7時頃川辺に行ってみてごらん。キレイだから」

雨上がりの午後7時以降...。